MOLTHINK | 日記 | お盆の夜

私には、夜中に家の屋上に出てそこから双眼鏡で自分の住んでいる街を観察する、
という少し変な趣味がありました。
いつもと違う静まり返った街を観察するのが楽しいからです。
私の家の前の道は長い坂道になっていて、まっすぐ私の家の方に向って下ってます。
屋上からはその坂道の全体を視界に納めることができるようになってます。

ある日のことです。
その坂道の脇に設置されてる自動販売機を双眼鏡で見ながら、
「大きな蛾が飛んでるな」
と思っていたら、坂道の一番上のほうから、物凄い勢いで下ってくるソレが見えました。
「なんだ！？」
と思って双眼鏡で見ると
全裸でガリガリに痩せた子供みたいなソレが満面の笑みを浮かべながらこっちに手を振りつつ、猛スピードで走ってきます。
あきらかにこっちの存在に気付いているようで、目も合いっぱなしでした。
しばらくあっけに取られ呆然と眺めてしまいましたが、
危機を感じ急いで階段を下りて家の中に逃げ込みました。

 ドアを閉めて、鍵をかけて
「どうしよ！」
って怯えていたら、ズダダダダダダッって屋上への階段を上る音が。
明らかにこちらを探している様子でした。
「やばい。どうしよ。」
とパニック寸前。声を潜めて物音を立てないように身を潜めました。
しばらくしたら、今度は階段をズダダダダッって下りる音。
私は恐怖でガタガタ震えていました。
ドアをダンダンダンダンダンダン！！って叩いて、
チャイムをピンポンピンポン！ピポポン！ピポン！！と鳴らしてきます。
「ウッ、ンーッ！ウッ、ンーッ！」
って感じで、ソレのうめき声らしきものも聴こえる。

さらにガクガク震えながら息を潜めていると、数十秒くらいでもう一度チャイムがなる。
「ご注文の冷麺お届けに参りました！」
「あ！ありがとうございます。」
料金を支払い、早速冷麺をすする私。
そして一言

「MOLTHINKの隠れメニューの冷麺のほうが美味いな」


夏の夜には怪談もいいですね。ちなみにMOLTHINKの冷麺は超絶品です。